我々は何者か - 子供が生命の起源に興味を持った時に読ませる本
息子の興味に寄り添って下水道について教えてくれた保育園を讃えていたら、私の中の内なる声が言うのである。
「今度はお前が生命の進化について教える番だ」
ごもっとも。
なんなら、生命の進化について教えるだけでなく、「わからないことをどのように解決するか」ということを子供に教える絶好のチャンスじゃないか!理系かあさん、頑張っちゃうよー。
早速、眠れない夜にWebを徘徊して生命の進化について説明してくれそうな絵本を見繕って、区の図書館で予約していく。予約すると最寄りの図書館までもってきてくれるの、最高。取り返そう住民税!そして、どーしても欲しくなってしまった絵本を一冊だけ買った。本当はもっと購入したいけれど、保管する場所もないから。(もちろんお金もない)
そんなわけで生命の進化についての絵本のリスト。都内某区の図書館の在庫にだいぶ影響されている。
進化(の経過)についての絵本
生命が海で誕生し、魚類両生類爬虫類と経て人類が誕生した。というあらすじの絵本たち。時々宇宙と地球の成り立ちを含む。
難易度:★★
ご存知「ちいさいおうち」の著者バージニア・リー・バートンによる進化論絵本。私はこの手の科学絵本が大好きなので、もともと本棚にあって何度か子供に読んでいる。絵は素敵だけれど、子供にとっては長いし話は割と単調で面白くないのでは?とおもっていたのだけれど、それでも時々本棚から引っ張り出してきては読んでくれと要求してくるのだから、やはり子供に引っかかる何かがあるみたい。
13800000000ねん きみのたび (HERS BOOKS)
- 作者: 坂井治
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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難易度:★
4歳(のうちの息子)でも理解できる
「せいめいのれきし」の簡略版。「せいめいのれきし」では個々の種にふれているところが「両生類」みたいな類で説明されている為、もう少し小さい子供からイケるように思える(大人視点)。ただし、宇宙の成り立ちや原子についての言及があり、その点より網羅的とも言えるかも。ただし、小さい子供向けなので、説明も表面的というか…息子は説明に納得いかない感を出していた。
難易度:★★★
4歳(のうちの息子)にはちょっとギリギリ…
もともと小学3年生あたりをターゲットにした福音館の月間絵本「たくさんのふしぎ」の一冊だったもの。小学3年生をターゲットにしただけあってすこし難しいような気がするけれど、違いはさしてなさそう。事実、息子は大人しく聞いていた。
この本の良いところは、現在から始まって一度人類を過去に辿っていくところ。アフリカの原始人から猿に、そして生命の起源まで。全てが世代交代によって種の変化(?)が起こったということを説明してから、もう一度地球の歴史を最初から説明する。遠い昔より始まるより身近な感じがする(大人視点)。
難易度:★★
4歳(のうちの息子)でもなんとか理解できる
上の「いのちのひろがり」と同じ福音館の本。ただしこちらの方が少し小さい子向けにしようとして意図を感じる。前半は植物と動物の違いや、細胞の話、生命の発生の話など自然科学の基礎になっていて、後半が生命の歴史の話になっている。
この本には「いでんし」という言葉が出てくるんだけど、説明は「さいぼうのなかのいでんしはさいぼうをはたらかせたりおやのせいしつをこどもにつたえたりしているんだ」ってだけなので、息子がどのぐらい内容を理解したかは謎。ただ、全体に説明はあっさりしているので、逆に幼児でもなんとか内容についていけるのかもしれない。前半の自然科学の基礎部分は子供も興味深そうにしていた。
進化論に言及のある絵本
進化論に言及のある絵本。「せいめいのれきし」もそうだけれど、進化の絵本って「魚の次に両生類が現れた」といった表現なので、じゃあ、この最初の「両生類」ってのはどっからきたのよ?空から降ってきたの?みたいな疑問には答えてくれない。あるいは、なぜたくさんの生物がいるかみたいな疑問にも。
子供のこの疑問に答えるためには進化論を説明する必要がある。「いのちのひろがり」にはさらっと説明があるもの、きっちりダーウィンの進化論を説明した絵本がこちら。
難易度:★★★★★
4歳(のうちの息子)には難しい
福岡伸一も好きだし、美しい絵に一目惚れして買ってしまった。(アマゾンは不当に高いから注意)しかし難しかった…ダーウィンがどのように進化論を思いつき発表したかという歴史的経緯もカバーされていたり、目の発生について触れられていたり、4歳にはちょっと早かった。でも絵がまちがいなく美しいから、読み聞かせすれば聞いてくれるし、本棚においておけばそのうち理解してくれるでしょう。
難易度:★★★★
4歳(のうちの息子)には難しい
進化論についての絵本。これも息子の食いつきがイマイチだった本。昔の人の疑問(大きな骨やみたことのない生き物の化石)から地層の話、ダーウィンの話と繋がる。地層の話は特に難しかったみたい…だって見たことないもんね…これはそのうち化石とか地層を実際に見せにいかないと。
その他
カモノハシくんはどこ?―生きものの分類学入門 (福音館のかがくのほん)
- 作者: ジェラールステア,ウィリーグラサウア,G´erald Stehr,Willi Glasauer,河野万里子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2002/05
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 8回
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難易度:★
4歳(のうちの息子)でも理解できる
どんなグループわけをしても仲間はずれになる可哀想なカモノハシくんのお話。4歳だとカモノハシという生き物の特殊ささえ伝わったか謎。しかも後半はみんな違ってみんな良い的ダイバーシティなまとめになっており、息子の進化への興味の足しにはならなかったかな。
もっと生物の進化がきっちり理解できていればカモノハシの生き物の特殊さが面白くなってくると思うのだけれど…
難易度:★★★★★
4歳(のうちの息子)には難しい
古い生き物の絵があって、それが何の動物の祖先かを当てるクイズから、それぞれの動物の特徴などを説明した図鑑。4歳にはちょっと難しかったようで、クイズにもあんまり興味を示してくれなかった。
そして最後に探していた本
これが私が探していた本だった!
進化のはなし―地球の生命はどこからきたか (児童図書館・絵本の部屋)
- 作者: スティーブジェンキンズ,Steve Jenkins,佐藤見果夢
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 大型本
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難易度:★★★★
4歳(のうちの息子)にはちょっと難しい
少し難しいけれど、生命の進化の歴史だけでなく、進化が変異と突然変異でてきていることや、環境に適応する形質を持った遺伝子がなぜ生き残るか、具体的に説明してくれる。自然淘汰を説明してくれたのはこの絵本だけだった。残酷だけど自然淘汰を説明しないと理解出来ないからね。
4歳にはさすがに少し難しかったのと、ショッキングだったみたいだけど、多分、年長さんぐらいになったら生命の進化について最高の一冊。
まとめ
進化論を理解するには、まず植物や動物の発生(世代交代の仕組み)、淘汰についての考え方といった前提知識が必要。
生物の発生については「いのちのつながり」に、淘汰についての考え方は「進化のはなし」で触れられている。
4歳ぐらいから「いのちのつながり」を、年長ぐらいから「進化のはなし」を読むのが良さそう。あくまで大人による知識を子供に伝えるという意味において。
感想
大人は特に何の疑問もなく受け入れている進化論だけれども(まあクリスチャンとか受け入れていない人もいるけど)、それを理解するには、自然科学のいろいろな知識が必要なことを思い知らされる。植物観察とかもっとさせないとなー。
それから、親がキッチリ必要なことが説明されていると思う本より、この説明では理解できないのでは?みたいな本の方がウケが良かったりするから、子供の知識に対する「理解」と「受容」というのは大人とは違うのかもしれない…
2020年の追記
上でいちばんおすすめの本をあげているけれど、もっともっとおすすめの本を見つけてしまった。それがこれ。
難易度:★
宇宙の始まりであるビックバンから惑星としての地球の成り立ちなんかも含まれているのだけれど、とにかく簡単。進化の歴史をある程度わかっている大人がみると、「おっ。あれのことだな。」ってのがわかるようなイラストが入っているけれど、お話としてはその辺は全くのスルーだったりして、科学的に正しくてそれでいて子供がわかりやすい。簡略化したもの。とはいえなのか、だからこそなのか、進化というのが世代交代によってなされたことに触れていたり、ツボは外さない。もちろん簡略化されていて、淘汰についての言及はないし、上でいちばん簡単とした「13800000000ねん きみのたび (HERS BOOKS)」にすらあった、類(両生類とか)の説明さえない。親が絵をみれば、これは魚類だなとかわかるのだけれども。そんなわけで、これ一冊では物足りないかもしれないけれど、いちばん最初のとっかかりとしては良い。
というわけで、子供が生命の起源に興味をもったら、最初にオススメの本はこれです!