或るワーキングマザーの日記

意識高い素敵なワーキングマザーには全然なれない。素敵な奥様なんてからきし無理。でもなんとかボチボチやってます。

理不尽上司に学んだ子育て

昔々、理不尽系の上司がいた。

 

すごく偉い人で、下で働いている先輩がいつも上司の横暴を嘆いていた。

 

先輩はしばしば海外に出張していたのだが、いつも帰ってきてお土産をくれながら言うには、「現地時間で現地の人と会議して、日本時間で日本の仕事をして」いてホテルにはシャワー浴びるぐらいしか帰れなかったらしい。

 

ある時には、その横暴上司に「夜寝てないんだから、出張の時ホテル要らなくない?」と言われたと怒っていた。まあ、ホテル予約なしじゃどの国も入国審査通らないだろうから、ホテルは抑えざるを得ないから大丈夫!(そういうことじゃない)

 

まあ、そんな感じでその先輩は横暴上司についていつも愚痴っていたのだが、ある時、下っ端の私がその横暴上司と仕事をすることになった。

 

それは、ある会報誌の上司のコラムの代筆だった。代筆、又の名をゴーストライター。横暴上司は出世しているだけあってものすごく頭が良く、回転も早いのだが、回転が早すぎるのと、推敲をキチンとしないせいで、書いた文章には、主語と述語が合っていないレベルの間違いが含まれていて、めちゃくちゃなのである。

 

という訳で、最初は上司の文章を上司と推敲して、「ここで言いたいのはコレですよね?では、こう変えましょう。」みたいなことから始まって、そのうち、トピックだけ上司に指定されて原稿を丸々書くようになったのだ。

 

先輩から横暴ぶりについて聞いていたので、最初は大いに恐れながら仕事をしていたのだが、丸々代筆するようになっても、一向に上司は横暴にならなかった。

 

私が女性だから遠慮があったのかもしれないけれど…それより仕事が代筆だった事に理由があったと思う。

 

私がしたのは紛うことなき代筆だった。コラムに掲載されるのは上司の名前であり、私の名前は出ない。つまり究極的にそれは上司の仕事で、編集さんに対しても原稿の遅れその他全てのトラブルは表向き全て上司の責任だった。(上司は見栄っ張りでもあるのだ。)

 

上司からなかなかトピックが貰えなくても、原稿のレビューをしてもらえなくても(流石に提出前に確認してもらっていた)、最終的に名前に傷が付くのは上司である。

 

だから私はいつも、「早く〇〇してくれないと、上司が困ることになりますよ」という気分だった。もちろんそんなことは言わなかったけれど。

 

一方で先輩は、今考えるとすごいドMだった。嬉々として横暴上司の世話を焼いて、上司の失敗を素晴らしい手腕でリカバーする。

そして、リカバー出来ない時(誰にだって限界はある)、何故か上司に先輩が叱られていた。いや、そこ、悪いの上司じゃん。と私は心のなかで思う。

 

素晴らしく頭の回転が早く、仕事の出来る上司は、子供みたいな性格だった。頭が良すぎて、人格的に大人にらならなくても、済んでしまったのだと思う。先輩が下手に出てくるものだからどんどん増長していただけなのだ。

 

自分の責任にない事を、自分の責任のように謝ると、ある種の人を増長させるという事を、その時学んだのだ。それから、どんな人間でも、それが自分事だと思わせる事が出来れば、ある程度動かせることも。

 

そして、子供が生まれてしばらくして気がついた。子供とは、あの横暴上司そっくりの、いやもっとタチの悪い生き物である事を。

 

朝イチの会議の為にいつもより早く保育園に行きたくても、子供にとっては知ったこっちゃない。優雅にゴネて、全ての努力を無にしてくれる。ですよね〜、私の都合ですもんね。

 

トイレトレでも、お絵かきでも、親がやらせたいとアレコレ頑張っても、本人はどこ吹く風。全くヤル気なし。だって本人が必要性を感じてないんだもん。

 

ハミガキだけは、散々ハミガキしないと虫歯になって歯が痛くなると言い含めると、歯を磨いてくれと自分から言うようになった。

まぁ、その前に「ママはいいんだよ〜、磨かなくても別に。歯が痛くなったら可愛そうだなって思って磨く?って聞いただけだから」ってたっぷり脅しているけれど。

 

そんなわけで、なんとか日々の諸問題を子供の自分事にして、自主的に動いてくれるようにならないか日々知恵を絞って、今日も朝イチの会議に遅刻しないように、子供を拝み倒して自転車に乗せています。(←結局全然出来てない