或るワーキングマザーの日記

意識高い素敵なワーキングマザーには全然なれない。素敵な奥様なんてからきし無理。でもなんとかボチボチやってます。

息子のお箸計画、期間大幅短縮につきデスマーチになる

何を隠そうこの私、子どもの頃お箸の持ち方がおかしかった。いわゆるバッテン箸というもので、箸がクロスする持ち方だった。

 

大学に入って一人暮らししてから、こっそり子供用の矯正箸を使って練習して直した。当時は大人用の矯正箸などなかった。

 

そんな事もあって、子供には早くお箸がつかえるようにならなくていいから、正しい持ち方で持てるようになって欲しいと思っていた。

 

私の頃は小中学校の給食も先割れスプーンだったし、ちょっとずつ練習すれば大人になるまでにはなんとかなるでしょうぐらいの計画であった。

 

ところが、保育園から年末に、来年度から給食がお箸になるとお知らせが来た。聞いてないよ〜!お箸計画、20ヵ年計画だったのが急遽3ヵ月計画に変更じゃん。IT業界ではおなじみのデスマ(デスマーチ)に突入である。

 

ちなみにこの時使っていたのはエジソンのキッズ向けのやつ。親指のリングはないが引っ掛ける突起があり、人差し指と中指用のリングが付いている。もちろん他のエジソン同様二本の箸は連結されている。普通のお箸なんか、正しく持つことさえ難しい。

 

まず、エジソンの人差し指中指用のリングを外してしまう。ちょっと使いにくそうにしていたものの、5分ほどで慣れて普通に使えるようになった。

 

デスマを完遂するのに大切な事は投資を惜しんではいけないという事である。とにかく人をつぎ込み環境を整える。金だけが開発期間を短縮できるのだ。過去に、隣のプロジェクトがデスマすぎて毎日夕ご飯が支給されていて、その余ったお弁当をもらったことがある。叙々苑弁当だった。美味しかった。

 

という訳で、1週間ほどしてリングなしに慣れたころ、Amazonでシリコンパーツで繋いだだけの箸を追加購入。挑戦のステップを限りなく小さくして、本人のやる気をなるべく失わせないようにする作戦である。投資こそがデスマを制す。

 

 

リングなしにした時は割とスムーズだったので、いきなり普段の食事に実戦投入だったけど、これはなんだか難儀しているので、ここからはおやつで練習させる事にする。これもモチベーション維持のための投資である。叙々苑弁当である。

 

まずは箸で摘みやすそうな小さなグミで練習を始める。ところが最初は箸を正しく動かす事もままならない。すぐに集中力が切れた息子がブチ切れて、お皿のグミを鷲掴みにして口に放り込む。

 

ダメだってば!!普段ならここで「そんな事するならもうお終い」にするんだけど、なんたってデスマである。一秒でも長くコードを書いてもらわないと困る。じゃなかった、1秒でも長く練習してもらわないと困る。おしまいにできない。投資投資。

 

仕方ないので淡々とお皿にグミを足し、大袈裟に褒めながらもう一度練習させる。箸っぽい持ち方になれば、「すごい良い感じ!」「あとちょっとじゃん!」(全然ちょっとじゃない)と褒めそやす。そして、箸でグミを5ミリでも持ち上げれば、「もう、コレは出来たも同然だから食べて良いよ」と。投資、投資。叙々苑弁当。投げ出されたら終わりだからな。

 

すると、意外とちゃんとまた箸をもって練習をするのである。そのうち、何度か摘もうとして連続で失敗すると、その摘み損ねたやつを素早く手で摘んで口に放り込む。仕方ない、それも黙認。5秒頑張ったからいいよ。

 

お皿の上のグミを箸でおいかける。掴めたら食べる。掴めなくても5秒ぐらい頑張ったら食べる。そしてまた練習。

 

そんな練習を2、3 日やって、コグミが一袋なくなる頃、なんとグミが持てるようになった!しかも、次はラムネで練習したいらしい。やる気を見せてるぞ。投資、すごい。

 

硬いラムネはグミよりずっと難しい。グミは摘めるようになったのに、ラムネは全く掴めず、ツルツルと滑ってゆく。箸で滑るラムネを追いかけながら、つまみ食いしていく。さっきからつまみ食いばかりだ。

 

それを眺めていると、

 

育児書に書いてあった、結果ではなく過程を褒めろ。ってこういう事かもしれないと、ふと思う。

 

ずっと、結果ではなく過程を褒めてきたつもりだったけど、結局「〇〇が出来たのは頑張ったからだよ」って結果が出た時に言うのって、それはつまり私が認めていたのは結果だったのでは?

 

お箸でラムネが掴めなくとも5秒練習したのだから、その過程を認めているならば、ラムネを一粒食べて良いことになる。もしかして、コレが過程を褒めるってことかも?

 

ちょっと、技を失敗しても餌をもらっていた水族館のイルカの調教を思い出したりしなくもないけど、頑固で母の言うことなんか絶対聞かないと思っていた息子と一緒に、お箸の練習が出来ているし。イルカに有効なら言わんや人間をや。

 

予定外だった箸の練習のおかげで、母として少し成長出来たのかもしれない。今までやってるつもりで口だけだった、ごめん、ごめん。