或るワーキングマザーの日記

意識高い素敵なワーキングマザーには全然なれない。素敵な奥様なんてからきし無理。でもなんとかボチボチやってます。

絵のない読み聞かせ

絵本ではない長めの本の読み聞かせって何才ぐらいから大丈夫なんだろう。疑問に思ってググってみても、(絵本の)読み聞かせの開始年齢についてしか見つからない。

 

おしりたんていの本(絵本ではない方。絵が多めだけど絵本ほどではない)は随分前からうちにあって時々読んであげているし、わたしが子供の頃は、幼稚園の年の頃には読んで貰っていた気がする。という最高にアテにならない、多分に美化されている危険のある記憶を頼りに、ひとつトライしてみることにした。

 

家には、独身時代に衝動買いした愛蔵版のイラストが綺麗な「楽しい川辺」の洋書がある。その絵を見せつつ、日本語版を読んであげようと、図書館で日本語版を借りてきた。正確には「楽しい川辺」はなかったので別訳である「川辺にそよ風」であるが。

 

初めて読んであげた時は、すぐにモゾモゾ動きだして、自分の手元にある洋書の方のページをめくってはあさっての場所を開いたりしだして、5分ぐらいでパタンと本を閉じたのでお終いにした。

 

やっぱりまだ難しかったな。と思った。何ならもうそのまま図書館に返すつもりで、図書館の袋に突っ込んで置いたぐらい。

 

「川辺にそよ風」の訳だけかも知れないけれど、このお話は実は語彙が結構難しい。こんな感じ。

 

「灰色の馬は、なつかしいわが家のしずかな馬場を夢に見ながら、とぼとぼ歩いていましたが、この、時ならぬおそろしい状態におかれたとたん、なにもかもわすれて本能に身をまかせました。」

 

時ならぬ、とか、本能に身を任せる、とか。難しい…。

 

5才の語彙にはなさそうな単語がバンバン出てくる。その上言い回しが持ってまわっている所も多く、そもそもストーリーが掴めているんだろうか?と思わなくもない。

 

ところがその日の夜寝る前に「あのご本はどこ?」と訊いてきて、寝る前に続きを読めと要求してきた。別に毎日寝る前に読み聞かせをするような素敵な習慣があったわけでもないのだが。そして、やっぱりページをめくったり、布団の上をゴロゴロ転がったりしながらも、たぶん10分ぐらいは聞いていた。

 

その次の日もその次の日も、やっぱり寝る前に本を引っ張りだしてくる。3日目になると同じようにモゾモゾ動きながらも、ずっと聞いている。私が音読に疲れてしまい、ちょうど一話目が終わったので、そこでおしまいにさせてもらった。「楽しい川辺」は複数の短編から構成されているのだ。

 

そんなこんなで、4日ぐらい経つと、今度は母がおしまいにしようと提案しても嫌がるようになって、毎日20分ぐらい読ませられる羽目になった。疲れる。それから聞いている時にモゾモゾ動くのが日に日に減って、絵がないお話だけの部分もだいぶ大人しく聞いているようになった。なんなら、お風呂で夫に「〇〇(行うと良いとされていること。例えばドリルとか)したから、今日は”お話”読んでもらうんだ〜」と話したりして楽しみにしているらしい。

 

ストーリーをどのくらい理解して、何を楽しんでいるのかまったく謎なんだけど。

 

謎なんだけど、でもこうなる予感がしていた部分もあって、うちの子は自分で本を読むのは嫌いだけど、読んでもらうのは大好きなのだ。保育園で絵本を読んでもらっている途中でお迎えに行くと、絶対お話が終わるまで待たされる。なんなら、先生がこれからご本を読むみたいなタイミングでも、読み終わるまで待たされる。よそのクラスが読んでもらっている所に通りがかっただけでダメ。少し離れた所にたって、お話を聞いて一歩も動こうとはしない。「物語が好き」を超えて、なんだか中毒めいた、むしろ「途中で止められない」ぐらいの執着を感じている。

 

結局、彼の好きな事だから、なのだ。

 

馬を水辺に連れて行く事は出来るが、馬に水を飲ませる事は出来ないっていうか、今回の本を借りて読んであげてみた(水辺に連れて行った)結果、息子は物語を聴くのが大好き(水を飲むのが大好き)だったから、そのうちちゃんとお話を聴いていられる(たくさん水を飲む)ようになったのだ。

 

結局、本人のやる気があればなんだって出来るんだな。って事実を突きつけられる。

 

 

鉛筆の運筆能力が低めで、ヘロヘロの文字を書く息子を心配して、この一年ぐらいあの手この手で一秒でも長く鉛筆を握らせようと画策しているのけれど、未だ全く成果は出てない。

 

そもそもお絵かきも塗り絵も嫌いなんだ、彼は…

 

最早怪しい壺を買う心理で、アレコレ投資して、書きやすいと噂の色鉛筆(ポンキー)だとか、32色の色鉛筆(Uni 888)だとか、好きなキャラの塗り絵も、楽しそうな迷路のワークも、一杯買ったけど、ほとんど使ってない。必死に必死に30分ぐらいさりげなく誘導して、最後には露骨に誘って、5分で終わり。

 

一方で、読み聞かせはここまで投資金額ゼロ。たった4日で目覚しい成長。

 

絵のないお話を耳から聞いて理解するのは、小学校に入ったら先生のお話を聞くのに必要な能力だと思うから身について良かったんだけど、でも、こんなにアッサリ成長されると、逆に、全然効果の出ていない、好きじゃない事を伸ばすのは不可能だな。ってわかるよね。

 

 

 

そして本日、最長読み聞かせ時間記録を更新した。40分。喉が疲れた。そして母は、完全なる自分の手間の都合で、お話を聴くのより、絵を描くのが好きだったら良かったのにと思うのであった。

 

まあ、このままならなさが育児の醍醐味なんだけれども。