或るワーキングマザーの日記

意識高い素敵なワーキングマザーには全然なれない。素敵な奥様なんてからきし無理。でもなんとかボチボチやってます。

大人の問題解決能力

最近の息子のお気に入りの朝ごはんは、食パンにスライスチーズを乗せて、焼かないで、そのまま食べること。

 

息子は、最近やっとスライスチーズのフィルムを自分で剥けるようになったのだ。

 

チーズのフィルムは最初に上側をめくって、その次が難しい。表面の下側(反対の端)はチーズにしっかりとくっついているので、剥がす時爪でチーズをえぐってしまうし、上側をそのまま裏側にめくるとしても折り返すところが難しい。

 

息子はそのままめくった端を裏側へと折り返して、剥いている。

大人でも乱暴にめくるとチーズの上の角が欠けてしまう。欠けるまでいかなくても破れてしまう。4歳の息子にとって、チーズを綺麗に剥くことは、なかなかのチャレンジである。

 

まあ、大人になるとチーズが欠けても破れても気にも留めないけれど、4歳にとっては、チーズの欠けは世界の終わりだ。ちょと破れてもご機嫌を大幅に損ねて、その後の保育園登園までの進行が大変になってしまう。分別のある会社に遅刻したくない親としては出来れば避けたい事態である。

 

だから本当は朝ごはんにしたくない。でも、そこは本人の希望だから。本人の希望を退けるのも、その後の進捗に大幅な影響が出るから避けたい事態である。つまり、私はあっちも、こっちもイヤなのである。言ってることが4歳児と変わらない。

 

案の定、その日のチーズにも亀裂が入ってしまった。ご機嫌を損ねないように、素早く破れたチーズを取り上げて自分の口に放り込んで、冷蔵庫の中から新しいチーズを出して渡す。

 

が、もう一枚も同じ所で破れてしまった。

 

しまった、これはコープで買ったいつもとは違うチーズで、よく見ると、いつものに比べて添加物的な物が少ないからか、見るからに粘りがなく、破れやすそう。これでは何枚渡しても息子がチーズを破かずフィルムを剥くのは無理だ。

 

みるみる息子のご機嫌が急降下してゆく。このままの気分でいられては、その後の進捗に大幅な影響が出てしまう。保育園及び会社に大遅刻は必至である。

 

ヤバい。なんとかしないと。ここは大人の問題解決能力を使って、親の威厳というものを見せつけるのだ。

 

そうだ、破れが気になるなら、積極的にくり抜いてしまえばしまえばいいのである。発想を転換するのだ。

 

クッキー型をキッチンの引き出しから、取りだしながら、「何の形にしょっか?」と訊く。

 

「猫さんにする?」

まだちょっと渋い顔。

 

「じゃあ、アヒルさんは?」

だいぶ機嫌がなおってきたぞ。

 

「…はろうぃんにする」と息子。

やったぁ!これで深刻な事態は回避された!

 

ハロウィンのコウモリやかぼちゃのクッキー型を渡すと、息子が嬉しそうに破れたチーズをお皿にのっける。一緒にああだこうだ言いながら、コウモリだのおばけだのを抜いては、「食べないでぇ〜」とか小芝居して遊んだりして。すっかりご機嫌になった息子はもう一枚チーズを剥いて(もちろん破れたけれど、最早気にしていない)、型で抜く。

 

そうして、楽しく二人で朝ごはん食べながら、「見よ、これが大人の問題解決能力というものだ。」とか達成感を感じていたら、

 

保育園にも会社にも遅刻の時間だったのである!!!!!!不思議だね!

(全然不思議じゃない)

 

慌てて、保育園までの道を自転車でかっ飛ばすのであった。うん、問題解決できてなかったね…